新型コロナウィルス感染症の蔓延により、戸板女子短期大学では学生・教職員・関係者の安全と安心、感染予防と健康維持を第一に考慮し、前期授業をオンライン授業へと急遽切り替えました。そのため、履修する側の学生がどのようなネット環境であるかを含め、オンライン授業開始から2週間が過ぎたところで現状把握を目的としアンケート調査を実施しました。アンケート調査は3週間経った5月29~6月1日に、学内グループウェアを通じて学生944人を対象に実施し、679人から回答を得ました。
実態調査アンケート概要
実施日 令和2年5月29日(金)~6月1日(月)
実施方法 アンケート機能から授業外にて記名式回答
対象者 戸板女子短期大学全学生 944名 回答数 679名 (回答率71.9%)
戸板女子短期大学では「74%の学生」がPCで授業を受講
Q1.オンライン授業を受ける際について、どのデバイス(PCやスマートフォン、タブレットなど)を使用し受講しましたか。使用頻度の一番高かったものを選んでください。
戸板女子短期大学の学生がオンライン授業で使用しているデバイスは、WindowsPCが64%、MacPCが9%。タブレットが10%。スマートフォンによる受講は16%の内訳でした。このことから、73%の学生が、PCで授業を受けていることが分かりました。
写真やイラストなどのグラフィカルなデザインを行う授業が多い服飾芸術科1年生はMacPCが12.7%、比較的PCを使う授業が少ない食物栄養科1年生は、タブレットが13.7%となり学科の特徴が出ています。2年生でも、タブレット所有が多く服飾芸術科18.8%、食物栄養科は12.6%となっています。またプレゼンテーションの授業で、パワーポイントなどでの資料作成頻度が高い国際コミュニケーション学科では、WindowsPCの所有率が高い傾向にあります。
通信環境は、95%の学生が自宅のwifiを利用
Q2.オンライン受講の際の通信環境を教えてください。
通信環境は、自宅wifiが95%となっており、モバイルWiFiや携帯電話会社利用は1%と、ほとんどの学生が自宅のWiFiを利用し、携帯電話回線のキャリア通信の利用は少ないと分かりました。
オンタイムでのZOOM通信環境は65%の学生が「改善の余地あり」
Q3.ZOOMでの授業の際、通信状況について回答をください。
オンタイムでのZOOM利用の通信状態について「問題なく使えた」は25%~30%程度となっており「たまに聞きづらい、画像が遅れた」学生は65%と多数が聞きづらかったり画像が遅れたりしたことがあったことが分かりました。今後、Q2.で無線WiFiの環境があるものの、社会全体でのテレワーク実施や集合住宅での通信速度の混線など、今後、環境の整備がより必要であることが分かりました。
「時間通り」に始まる「ZOOM授業」は90%以上が高評価
Q4.「時間通り」に始まる「ZOOM授業」の授業についてについてお伺いいたします。
オンタイムでのZOOM授業に関して、「大変良い」が22.9%、「良い」が44.2%、「普通」が31.2%と90%以上の学生に高評価でした。学生の声を取りまとめると「時間通りに始まること」「通学時間の制約が無いことでより課題に取り組めること」が評価が高い理由のようです。
「大変悪い」「悪い」は2%あり、大きな拒否反応ではありませんが、通信環境が悪く聞こえなかったり、ネットワーク状態の不安定さがZOOMでの授業の評価を下げている要因としてあります。今後、戸板女子短期大学では、授業の質の向上はもとより、通信環境の改善を進め、大変良いを拡大していく方策が必要と考えます。
「時間通り」に始まる「ZOOM授業」の学生の声
「満員電車に乗らずに自宅で時間通りに授業が受けられる」「大学に行っている状態を同じように出来るから」「移動時間が必要ないので時間が有効に使える」
「オンラインだけど、グループワークをできたり交流できるので良いと思う」
「クラスルームの資料は自分で読むだけだけど、実際にzoomだと先生の話を聞けて理解できることもあるから」
「個人的にはとてもやりやすいと感じました。たまに通信環境により困ることもありますが、見直しも後からできますし、復習するのにとても役立っています」
「ネットの問題で聞き取りづらい時が時々ありましたが、ほとんどが聞き取りやすく、コロナの心配をしなくていいので、いいと思いました」
「時間通り」に始まる「classroom」「Webclass」も90%以上が高評価
Q5. 「時間通り」に始まる「classroom」「Webclass」の授業についてお伺いいたします。
「大変良い」24.5%、「良い」が39.3%、「普通」が32.3%、となっており90%以上の学生は、時間通りに始まるclassroom、Webclassの授業の評価が高い傾向にあります。「大学生の生活リズムが身に付くことや授業時間を意識しやる気になる」「オンデマンドの利点を生かした自分のペースでできることや理解できるまで何回も見ることができる」などの肯定的な評価がありました。なお、デメリットとしては、悪いとの評価も約3%あり、課題の提出の仕方がわからないなど、受講する学生への使用方法などの説明手順もより必要だと考えます。
「時間通り」に始まる「classroom」「Webclass」の声
「メモを取りたいときに動画を止めたり、何回も見ることが出来るから」「本来授業を受けている時間に受けることによって大学での時間の感覚が身についたから」「 自分のペースで進められるし、ノートを取りやすいからとても良い」「 時間に制限があるのは目標になって良いと思う」など意見がありました。
「時間が自由」な課題型の「classroom」「Webclass」も97%が高評価
Q9. 「時間が自由」な課題型の「classroom」「Webclass」についてお伺いいたします。
「時間が自由」な課題型の「classroom」「Webclass」については、「大変良い」が38・4%、「良い」が36.4%、「普通」が22.1%と97%の学生が高評価で回答しています。自分のペースで進めることができることやわからなかったところを何度も見直せる、時間を制限されなくて済む、など時間が自由という点で評価されたものと思われます。「普通」では、「課題を見落としやすい。反映されないこともある」「小テストをする授業もあるが、SNS上、検索もできるし、不公平なテストになっている」「見た目に気を使わなくていいが、質問がしづらいというデメリットもある」と答えた学生もいました。
「見やすいパワーポイント」「事前に資料提示」が高評価のオンライン授業
Q10.オンライン授業を受けて、「良かった」授業名と理由をお伺いいたします。
オンライン授業を受けて、「良かった」授業の傾向は、講義形式では、パワーポイントの見やすさ、特に音声と組み合わせた形式が評価が高く、また事前に動画や資料がClassroomに投稿されていると学生は、授業内容を理解しやすいようです。
なお、ZOOMで質問時間を個別に設け、質問したことに丁寧に答えるフィードバックがある授業も、学生の評価が高いようです。
服飾芸術科 授業の感想(一部)
メイクアップ演習:演習系でオンラインでも分かりやすく内容が濃い授業で、とてもためになった。
服飾芸術概論:講義形式で話が面白くパワーポイントも見やすい。
カラーコーディネート論:先生の用意した動画やスライドを見てノートに記入したりプリントを穴埋めすることがオンラインでの授業に合っている。
食物栄養科 授業の感想(一部)
生化学:1週間前に動画を投稿してくれるので早く見れて後が楽になる、対面で受けているように感じる、授業が簡潔で分かりやすい。
臨床栄養学:資料が見やすく理解しやすい。
基礎栄養学:ノートをきちんと整理でき、授業時間内に復習できる、授業後にパワーポイント資料も載せてくれるので説明が早かった部分も理解できる。
給食管理実習:動画を見てから課題をやるという形で無駄な時間がなく、効率的。
調理学実習:とてもわかりやすく、こちらが質問した事に対して丁寧に答えてくれた。
国際コミュニケーション学科 授業の感想(一部)
ヒロインたちの恋愛と結婚:普段大学で受ける授業と変わりなく受講できた。
国際関係論:普段の授業より集中して聞けている。
Practical English:みんなと一緒に英語の発音の練習をしているのが耳で分かるので、お互い反応が見れて、良いなと思った。
Freshman English Writing:ブレイクアウトルームで実際に会話することによってとの学生同士のとの仲が深まった。
総合教養科目 授業の感想(一部)
戸板ゼミナール:産学連携プロジェクトをすることが楽しく、グループワークをzoomでできて友達も増えたため。
ビジネス情報処理(表計算):先生の説明がわかりやすく、授業を受けていて、もっと学びたいと言う気持ちになる。
マナー演習、プレゼンテーション入門:オンラインでやれることが限られるにも関わらず、発表の機会が多く楽しい。
オンライン授業の利点は「通学時間の削減」と「自分のペースにあった学び方」
Q11 対面式の授業と比べ「オンライン授業」を受けて良かった点は何ですか。1年生は高校時代の授業と比べてください。
学生も教員も初めての取組ではあるが、「通学の時間がないこと・家で受けられること」での通学時間の削減と「動画を見てもう一度復習することができる」「ノートの書き忘れなどを資料で後で見直すことができる」「わかりずらかった部分はもう一度見直すことができること」など自分のペースにあった学び方という利点があるようです。
また「先生と近くで話してる気分にもなる」「パワーポイントなどの画面が見やすい」「集中して取り組める」など、クローズドされた空間で、PCやスマートフォンを活用するオンライン授業ならではの利点もあるようです。
「通信環境の問題」や「授業への理解度」がオンライン授業の不安要素
Q12.対面式の授業と比べ「オンライン授業」を受けて悪かった点、困ったことは何ですか。1年生は高校時代の授業と比べてください。
「途中通信制限が悪くなって先生が話してたことが聞き取れないこともある」などの通信環境や「実験実習が実際にできていないこと」「オンライン授業だとわからないこことかかっても聞きづらい」「楽に受けられるけど、たまに授業という感じがしない」など学びの不安について困惑している声が多くありました。
「一日中パソコンと向き合うので視力や体力の低下が心配」「自宅だからモチベーションが上がらない」「友達と会えない」「コピーやプリント費用が多くかかる」「一度も学校に行けてないので、友達作りが不安」など、体調や精神面などの不安も感じているようです。
オンライン授業の質を上げるには、LMS(学習管理システム)の活用が今後のカギを握る
Q13. 今後もオンライン授業を受講するに際し、要望などがありましたらご記入ください。
現在のオンライン授業の運営面について「課題や提出方法をもっとわかりやすくして欲しい」「特に解説だけの講義など聞くことが中心となる授業の時は、classroomでの動画授業で大丈夫ではないかと思う」「パワーポイントを利用した授業はとても分かりやすいので、どの授業もパワーポイントを利用した授業にして欲しい」「音の出るパワーポイント動画は復習もでき、わかりやすいので多くの授業で取り入れてくれたら嬉しい」「プリント類を必要な時に毎回印刷しに行くのは大変、お金もかかるのでなるべくWebで提出したりする仕組みにしてほしい」など、改善点も多くありました。
また対面授業との比較から「オンライン授業だからこそ、より授業の質を上げてほしい」「なるべく対面授業に近いやり方にしてほしい」などさらなる検討を考慮すべきものなど。今後の学校としての学びのシステムについて「授業の後にZOOM動画をclassroomに載せてくれるので聞き逃してしまったところを再確認しやすい。オンライン授業後も授業で取り扱ったスライドショーや動画をClassroomにアップしてほしい」「登校時間が無い学校生活で、課題など自分の時間を多く作れることが嬉しい」など、オンライン授業を積極的に受け入る学生もいました。
また、一部の学生では「コロナウイルス感染が心配なので、前期はオンライン授業を希望します」「電車での移動で満員電車通学で1時間かかってしまうとコロナ感染が怖いので、今後もある程度はオンライン授業は続けて欲しい」と不安を訴える学生も多くいることも事実です。
戸板女子短期大学では、今後ZOOMやGoogleclassroomなどを活用しオンライン授業をどのように活かしていくか、授業の質の改善と保証、また課外活動への展開を含め、随時検討してまいります。
本件に関するお問い合わせ先
戸板女子短期大学 IR室 まで
TEL 03-3452-4161