卒業生の皆さん、本日はご卒業、誠におめでとうございます。
ご家族の皆さまにもお嬢様のご卒業を心からお祝い申し上げます。
これまで本学の教育にご理解とご支援を賜り誠にありがとうございました。
入学時より尚一層素敵に輝いているみなさんに、
本日はお祝いとともにまずは感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。
みなさんの学年は、短大に入学する1年前から新型コロナ感染症の蔓延があった学年です。
高校生活の最後の1年間が思いもよらない状態で幕を下ろして悔しい思いをした方、
ご家庭で大変なご苦労をされた方も少なくないでしょう。
なかには、新型コロナ感染症のためにご家庭の経済状況が変わり、
進学先を変更して戸板に来てくださった方、
学費のほとんどを自分で工面する決断をして入学された方もいたことと思います。
それぞれさまざまな思いを胸にしながら、みなさんは入学してくださいました。
短大に入学してからも制約が続きました。
しかし、みなさんは、前向きに、やれる範囲の中で、
明るく精一杯、挑戦や努力を続ける姿を幾度も幾度も私たちに見せてくださり、
その姿から私たち教職員もエネルギーをいただきました。
本当にありがとうございました。
心から感謝いたします。
今日は、みなさんにも、卒業の嬉しさとともに、
是非、感謝に浸る1日を過ごしていただきたいと思います。
みなさんを直接支えてくださったご家族、
ご友人など周囲の方への感謝はもちろん忘れていないと思います。
必ず心をこめ、ことばできちんと御礼を伝えてください。
それらの方々あっての、本日のみなさんです。
そして、この身近な方々に加え、さらに3つの対象に感謝をしていただきたいと思います。
まずは間接的にみなさんを支えてくださったすべての方々への感謝です。
例えば、短大に来るために乗った電車を運転してくださった運転士の方、
その電車をいつも整備をしてくださっている方、
私たちの健康をささえるべく、おいしい野菜をつくろうと尽力してくださった方、
コロナまん延のなかで奮闘してくださった医療関係の方々、
その医療関係の方を支えているご家族……。
考えれば枚挙にいとまがありません。
私たちの日常は、出会ったことのない多くの過去および現在の方々の努力、労力、善意で支えられています。
次に、自然への感謝です。
ときには脅威をもたらす自然ですが、豊かな恵みを我々に与え、
雄大な、あるいは優美な景色をみせてくれ、生物として我々を活かしてくれています。
そして最後に、自分自身にも感謝の言葉をかけてあげてください。
みなさんは、この2年間、様々なことに取り組み多くのことを吸収して成長されました。
成長をもたらした自分に感謝をしましょう。
また、自分の体にも感謝してください。
やる気が出ないときでも、
不機嫌なときでも、寝ているときでも、
心臓や脳をはじめ体のありとあらゆるところで、
さまざまな機能が働いてくれています。
本当に素晴らしく、ありがたいことです。
「感謝の念は教養の結実である」と、イギリスの詩人、サミュエル・ジョンソンが言っています。
感謝は想像力でもあります。
今後も想像力をさらに働かせて多くの感謝の視点と思いを持ち、
感謝の対象を大切にする女性になってください。
感謝する心を持つ人は、他者も自分自身をも幸福に導きます。
校訓である「知好楽」、戸板での学び、そして感謝の念、
これらをみなさんの中にしっかり刻み込み、
今後さらに自分自身を成長させご活躍ください。
明日からの新たなスタートに幸あれと
教職員一同、心から応援しています。
令和5年3月14日
戸板女子短期大学
学長 白川はるひ