日本人は、昔から麺を食するのが好きな民族です。
奈良時代や平安時代には、麺類の原型といわれる索餅(むぎなわ)などが誕生し、後々うどんやそばが誕生します。
麺類の中でも人気のあるラーメンは、いつ誕生したのでしょうか。
ラーメンの誕生は、様々な諸説がありますが明治末期から大正時代にかけて横浜から始まったのが定説とされています。実際は、そば粉が入っているわけでもないのに「中華そば」と呼ばれました。その中華そばは、次第にラーメンと呼ばれ日本人好みの独自の味に作り替えられ、庶民に親しまれて日本全国に特色のある味が誕生していきました。
【ラーメン?】 いつからラーメン??
いつ頃からラーメンと呼ばれたのでしょうか?
実際には、ラーメンと呼ばれるようになった起源は明らかではありませんがいくつかの諸説・俗説があります。
●拉麺(ラーミェン)
中国語では、手で引き延ばして麺を作る技法を「拉麺(ラーミェン)」といい、これが変化して「拉麺」と呼ばれるようになった。
●老麺(ラオシェン)
中国語でそばの意味の「老麺(ラオシェン)」が変化した。
●柳麺(ラオミン)
大正時代に浅草の中華そば屋の屋号であった「柳麺(ラオミン)」が変化した。 柳の葉のような切れ麺
●ラー麺
大正時代初期に札幌にある竹屋食堂にひとりのコックが」いました。彼は、いつも「ラー!」「ラー!」(はい!という意味)と返事をしていたことから、そのコックの作る麺を「ラー・メン」と名付けた。 その他にも俗説は多々あります。
【ご当地ラーメン】日本全国ラーメン紀行
●札幌ラーメン ~ご当地ラーメンの魁~
札幌ラーメンについては、北海道・札幌で味噌仕立ての豚汁に麺を入れて食べたのが始まりとされています。昭和40年代の初めに味噌ラーメンが売り出されてブームが到来し現在に至っています。麺は、強力粉を主体した小麦粉を使用し、熟成のきいた腰の強いのが特徴でです。スープは、濃い味噌味と炒めたたっぷり野菜が特徴ですが各店舗により独自の味を醸しだしています。
●喜多方ラーメン ~蔵の街の伝統~
喜多方ラーメンは、喜多方地方の清涼な湧き水と蔵の街の風土が育んだご当地名産のひとつです。麺は、太くやや平べったい平打ちで、縮れて、腰が強いのが特徴です。スープは、懐かしいあっさり味の醤油ベースで豚骨、鶏ガラを主体に醤油に合う野菜や昆布、煮干類で味に深みをもたしています。
●九州ラーメン ~豚骨風味の九州の味~
九州ラーメンは、南部に代表される鹿児島ラーメンと北部に代表される博多ラーメンがあり、その中間に熊本ラーメンもあり、それぞれ独自の味を形成しています。九州ラーメンの共通な特徴は、豚ガラをベースに白濁風です。釜の中で長時間、強火で煮出された豚骨は、骨の成分が抽出され白く濁った濃厚なスープになります。スープの独特の味は、豚骨の旨味成分と脂肪やゼラチンともども作り出し、豚骨特有の臭みが残ることから紅ショウガや香辛料等を使用します。 麺は、全般的に細麺で、比較的硬い歯ごたえを持つ食感のものが多いです。
これまで紹介した以外にもご当地ラーメンは、東京ラーメン、高山ラーメン、尾道ラーメン、和歌山ラーメンなどそれぞれ地域の特性をいかしたものが誕生しています。
※参考文献 日本食生活学会誌Vol.8 No.1 1997 めんと食生活 谷口裕信
戸板女子短期大学 食物栄養科 博士(食品栄養学)
谷口裕信