近年、幼児期の食物アレルギー患児数は増加しているといわれています。
「卵・乳・小麦」は幼児期の三大アレルゲンといわれ、食品にはアレルギー食品である7種類「卵・乳・小麦・そば・落花生・えび・かに」の表示が義務づけられています。
戸板女子短期大学の講義の中でも、食物アレルギーについて学びますが、2年間という限られた中では、やはり食物アレルギーについて学ぶ時間は多くはないのが現状です。本学の学生の中ではこどもの食育に興味を持っている学生が多く、実際に保育園で臨地実習をするもの、保育園に就職するものも多いため、食物アレルギーに対する知識はより不可欠なものとなります。
現在、増野ゼミでは「食物アレルギー」をテーマにゼミ活動を続けており、アレルギーの除去食や代替食品などを中心に様々なことを学生たちは学んでいます。食物アレルギーがあっても無くても、ともに美味しい食事を食べられることは、小さなこどもの食育にとって大切なことだと感じています。
今回、食育ゼミナールにおける増野ゼミの活動の一環として、企業の食物アレルギーへの取り組みを知るために、石井食品(株)八千代工場の見学に行ってきました。
石井食品は「イシイの無添加調理 ミートボール」などでも有名な会社ですが、今回、工場見学をさせていただき、企業がどのような取り組みを実際に行っているのかを具体的に理解することができました。
当日は、まず、会議室で石井食品の会社概要や歴史、食品に対するこだわり、食物アレルギーに対する取り組みなどについて説明を受け、その後、広い工場内を見学させていただいた後、工場でしか味わえない出来立てのミートボールや、7大アレルゲンを使用していない食品の中から「ブラウンソース」を試食させていただきました。
▼ 7大アレルゲンを使用していない製品の一例
▼ 添加物を使用していないおせち料理の一例(写真)
学生は工場見学を通じて、石井食品では化学調味料、保存料、添加物を一切使用せず、「天然のだし」を使用しており、例えば、鰹節は自社で削ったものを使用する、チキンスープは自社でじっくりと鶏からスープをとっているなど、徹底されて製造されていること、安心・安全のために目に見えないところで大変な企業努力がなされていることを知りました。原材料産地へのこだわりや、製造番号による安全管理、実際にベルトコンベアーによる膨大な量のハンバーグやミートボールのオートマチックな製造過程、殺菌、品質管理についても興味深く見学していました。そして、どんなに大量の製品を製造していても、最後にはひとつひとつ、人の目による検品作業が欠かせないということにも驚き、感心していました。
アレルギー児のための非常食セットを拝見した際には、保育園などの現場では、当然、災害食の備蓄は重要であるが、アレルギー児のための非常食の備蓄もまた必要であると感じた様子でした。
今回の工場見学を通して、学生は製品の製造過程や企業の取り組みを実際に見ることにより、机上では得られない様々な事を、印象深く脳裏に焼き付けることができたことと思います。
石井食品の社内に張ってあったポスターの「一緒がいいね」という言葉に、あらためて「供食」の大切さを感じた一日でした。
最後になりましたが、繁忙期にもかかわらず、栄養士を目指す学生の勉強の一助になればと、特別に見学を許可してくださいました石井食品株式会社様に、心より深謝申し上げます。
応用栄養学研究室 増野 弥生