食物栄養科かわらばんVol.43(15.2.9)蕎麦(そば)のはてな?

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我が国は、四季があり、季節ごとに様々な行事があります。その行事には昔から日頃食べ親しんでいるおそばを食べる習慣がありました。
年越しそば注1)、節分そば注2)、雛そば注3)、引っ越しそば注4)・・などなど
今回は、そばについて意外と知られていない疑問にお答えします。

 

1、 そば粉?
米や小麦など食用穀物の多くは、イネ科に属するに対して、そばはタデ科に属します。そばは、収穫した殻付きのままのものを玄そば、この殻を取ったものを丸抜きといい、丸抜きを挽いたものがそば粉です。挽き方により、性質の違うそば粉が生まれます。

① 一番粉
真っ白な内層粉で、でんぷん質が多いです。
 
② ニ番粉
そばの実の中層部から採取し、淡黄色〜淡緑色を呈して甘さと香りがあります。
 
③ 三番粉
繊維質の多い外側の表層部から採取し、色も香りも二番粉より強いです。

 

 

 

2、 黒いそばは、そば粉が多い?
そばには、黒いそば、白いそば、緑かかつたそばがありますが黒いそばが一番そば粉が多い??

そば粉のところでも触れましたが、そばは、使用するそば粉の性質によって独自の色、風味、食感のそばに変わります。
生めん類の表示に関する公正競争規約等では、そばと表示するにはそば粉30%以上を使用することが定められています。

① 黒いそば

「藪そば」、「出雲そば」等、中・外層粉を使用し、風味が強く色も黒っぽい。

 

② 白いそば

「更科そば」、「御膳蕎麦」等、内・中層を使用し、色は白っぽく、歯ごたえのよいのを特徴としています。

 

 

3、 そばはのびやすい?
美味しいそばの条件は、挽きたて打ち立て茹でたてという俗にいう三たてがあげられます。
食べごろのそばは、適度の歯ごたえ、シャキシャキ感があります。のびたそばは、グニャグニャ感・ぼそぼそ感・もくもく感が生じてそば独特のこしの立つ食感は失せてきます。
何故そばはのびる(のびやすい)のでしょうか?

 

のびる理由?
そばのたんぱく質は、小麦粉のグルテンのように網目構造を作ることができません。グルテンは、水分を吸収して組織内に水分を取り入れて保留する性質があります。そば粉には、グルテンはありませんので水分を保留することはできず、次第に麺の中心と表面の水分差がなくなり、全体的に柔らかくなりのびた状態になってしまいます。

 

 

 

4、 つなぎの役割?
うどんや中華めん、スパゲティなどのめん類は、小麦粉から作られて、特につなぎを必要としません。そばには何故つなぎが必要なのでしょうか?

そば粉のたんぱく質は、水に溶けやすく、高い粘性を生じます。この性質を利用してそば粉のみでつなげることができます。いわゆる10割そばです。
そばのつなげる力であるたんぱく質は、めんを打っている際は粘性がありますが時間がたつと保持する力なくめんはきれやすくなります。そのためそばには、つなぎを加えて、そば粉をつなげやすくします。
そばのつなぎは、小麦粉が一般的ですが、それ以外に、山芋、鶏卵、ふのりなどが使用して独特の風味・食感を形成します。

 

山芋

 

ふのり

 

 

注1) 食物栄養科かわら版 2013年12月号参照

注2)節分そば
節分とは、季節の変わり目(立春、立夏、立秋、立冬)をいいますが、一般に立春の前日とし、この日から年が明けるといわれ、清めのそばを食べていました。

注3)雛そば
雛人形をしまう3月4日に清めのそばを供えて食べるのが江戸時代中頃の風習でした。

注4)引越しそば
江戸時代中頃に引っ越してきた挨拶として手軽で安上がりだったそばを配るようになりました。「おそばに末永く」の洒落も効いています。

 

 

管理栄養士 博士(食品栄養学)谷口裕信

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広報部

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