『咀嚼って何?』

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戸板ヘルシー通信 2008年1月号 『咀嚼って何?』

皆さんの口の中に歯は何本あるか数えたことがありますか?
この機会に是非一度、鏡を除いて自分の口腔内をのぞいて見ましょう。

 

ヒトの乳歯は3歳までには20本が生えるといわれ、成人は俗に「親知らず」といわれる第三大臼歯を入れて、切歯・犬歯・臼歯の合計32本が生えるとされています。咀嚼とは口腔内に入った食べ物を歯によって細かく噛み砕くことをいいます。

 

あなたが、栄養について考えるとき、どちらかというと消化吸収のメインである小腸や胃など消化管について目がいき、ついつい口については忘れがちではありませんか?

 

でも!消化器の始まりは口、呼吸器の始まりは鼻です。

 

私たち人間は「従属栄養」という形で、外界から栄養を取り入れていますが、食物の取り入れ口としてまず口腔があります。乳児期であればまずは乳汁という液体から始まり、離乳期を経て段階的に固形食へと食物の形態は変化し、幼児期、学童期を経て成人期を迎えていきます。この間に味覚・消化機能は発達し、ヒトは多くの食物、様々な味と出会い、食習慣が形成されていきます。高齢期になると歯牙の脱落、味覚の感受性の低下、代謝機能の低下などがおき食事の形態、味付けにも配慮が必要になってきます。このようにライフステージごとに食事のあり方は変化し、噛めない子供達の増加、不規則な食事、朝食欠食者の増加、若年者の歯周病患者の増加、生活習慣病の増加、高齢者の歯の損失率などといった様々な問題点もいわれていますが、どの世代においても『食』は重要なものです。

 

「美味しさ」は視覚(色、見た目など)嗅覚(香りなど)、聴覚(調理音など)味覚(味)の他、触覚(テクスチャー)も重要な要素ですね。今ここに真っ赤に熟し たリンゴがあったと想像してみてください。艶々に光沢がある真っ赤な色を見て、甘酸っぱい香りを嗅ぎ、実際に口に入れて食するとリンゴ特有の噛み応え、舌触り、甘酸っぱい味を私たちは美味しいと感じることでしょう。食物の美味しさはしっかり噛んで味わうことによって感じられるものといわれます。きちんと噛んで食べる、つまり咀嚼は人間にとって生命の維持に関わる身体的にも精神的にも大切な行動です。

 

また、咀嚼をすることは脳に刺激を与えることにもつながります。私たちは世界有数の長寿国といわれ、我が国の平均寿命は厚生労働省「平成17年度簡易生命 表」によると男性は78.53歳で、アイスランドに続いて世界第2位、女性は85.49歳で世界第一位です。「生涯を通じた歯の健康づくり」として 8020運動、(80歳になっても自分の歯を20本保とう)というのは最近よく聞かれますが、8020運動では、障害を通じて自分の歯で食べる楽しみを味わうことを目標としており、なぜ20本というかというと、ヒトが食物の種類など問わず“噛める”には20本の歯が必要とされているからです。

 

いつまでも健康で、しっかりと自分の歯で咀嚼が出来るように、普段より口腔衛生・食生活にも気をつけていきたいものです。

 

 

【 応用栄養学研究室 増野弥生(管理栄養士)(健康咀嚼指導士) 】

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