2006年度9月号 食事は一汁三菜を目指して!
近年、日本では食の欧風化が進むことによる、生活習慣病の増加が懸念されています。その予防対策として、2000年に厚生労働省・文部科学省・農 林水産省が連携して“食生活指針”をまとめました。この“食生活指針”では、「主食・主菜・副菜を基本に、食事バランスが大切である」と食生活の見直しを促しています。
「主食・主菜・副菜」は、白米を主食に米の食味を生かし、肉や魚を中心に調味した主菜と、野菜を調理した副菜を組み合わせ、「一汁三菜」を目指す日常献 立の基本です。この「一汁三菜」のはじまりは室町時代の貴族や武士階層の食事様式にあります。それは、本膳と呼ぶ膳(足つきのお膳)を正面に配置し、その 回りに2~6つの膳を並べる形式をとり、ひとりずつ銘々のお膳に「飯・汁・菜(おかず)」を配置したものでした。その当時、将軍の饗宴に出された食事は 20種類以上の菜と7種以上の汁という献立であり、かなり見た目を重視した贅沢な食事様式であったようです。
江戸時代後期に、本膳料理形式は簡略化され、婚礼などの儀礼的食事やもてなしの食事として定着し、菜は決して豪華なものではなかったようですが、町人の 間にも「飯・汁・菜・香の物」という日常食に引き継がれ、日本の伝統的な食事様式となりました。
引き継がれている本膳料理形式 二汁五菜
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わたしたちが、日常食の中で「一汁三菜」を組み立てるときは、「本膳」の形式をお手本に、季節の食材を取り入れ、調理法や味付けのバランスを考えることが大切です。
(1)飯
(2)汁物
(3)主菜(焼き物・揚げ物)・・・獣鳥肉類、魚介類 etc
(4)副菜(煮物・蒸し物)・・・野菜類 etc
(5)副々菜(和え物・香り物・サラダ)・・・野菜類、果物類 etc
まず、主食となる?飯を決め、「一汁三菜」を考えます。
A | B | ||
(1)飯 | ロールパン | (1)+(3) | 親子丼 |
(2)汁物 | コーンスープ | (2) | なめこと豆腐の味噌汁 |
(3)主菜 | ハンバーグ | ||
(4)副菜 | 人参グラッセ | (4) | うずら豆の甘煮 |
(5)副々菜 | ルッコラと大根のじゃこサラダ | (5) | 茄子と胡瓜の浅漬け |
さて、我が家の夏の献立です。あなたもぜひ、季節の食材を使って、「一汁三菜」をアレンジしてみてはいかがですか!
参考文献
石川寛子,江原絢子 編著:「近現代の食文化」, 弘学出版, p2~32(2002)
田名部尚子,今井悦子 共編:「食材をいかす調理学」, アイ・ケイコーポレーション, p4~9(2005)
【 調理学研究室 佐藤幸子 】