水の話

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今年は5月中旬から雨が多く、日照時間が少なかったですね。西日本では、7月15日から24日にかけて記録的な豪雨があり、甚大な被害がもたらされてしまいました。
このように脅威でもある水は、別の見方をすると、生物にとって命を支える物質でもあるのです。

 

国土交通省 土地・水資源局水資源部によると、多雨地帯であるモンスーンアジアの東端に位置する日本の降水量は、年間約1,800 mmなのだそうです。地球は水の惑星と呼ばれ、さらに日本は瑞穂の国と呼ばれることがあります。これは日本が豊かな水に支えられ、水田で稲作をする文化が 築き上げられてきたことと大きな関係があります。

 

地表に降った雨や雪は地下の岩盤などに浸透し、流れていく間に地中の 鉱物(ミネラル)が溶けていきます。溶け込んだカルシウム・マグネシウムの含量によって、水は「軟水」「硬水」と区別されています。日本の水は軟水が多く、ヨーロッパなどの大陸の水は硬水が多くなります(これらの地域では、石灰岩が多いうえに地下での滞留時間が長いため、ミネラルが良く溶け出します)。 無味無臭の水ですが、緑茶には軟水がよく、紅茶には硬水が良いとされ、硬水は日本酒醸造に賞用されますが、石鹸の泡立ちの悪いことが知られています。一般 的に、軟水は軟らかいまろやかな味といわれ、硬水は硬くきりっとした味といわれます。嗜好には個人差がありますから、一概に言うのは難しいですが、硬度は 味を決める要素の一つであるといえます。

 

水の美味しさには、水温も大きく影響します。一般的に、飲み物が美味しく飲める適温は、体温マイナス25℃といわ れています。水資源の豊かな日本ですが、最近では飲み水を購入する人も多くいます。いろいろな種類のミネラルウォーターが売られていますが、ラベルの栄養 成分表示に注目してみるのも面白いです。

 

水は、人体の約60%を占め、さらに乳児では約80%を占めています。赤ちゃんの肌がみずみずしいのは、水分含量が高いためです。体の活動を維持するために、人は絶えず水分を吸収し、排泄し、循環させる必要があります。以前の日本では、部活動などにおいて水分を取らずに我慢して、運動し続けることがありましたが、脱水症状に陥りやすく、危険です。今では、運動後はもちろんのこと、 運動前・運動中の水分補給は「あたりまえ」のことになっています。運動により体温は上昇し、発汗することで熱を放散しますが、長時間運動を続けていると体 内の水分が不足しますので、こまめな水分補給が必要となります。水分補給のポイントは、渇きを感じる前に飲むということです。高温・多湿な環境で長時間の 運動を行い、多量の汗をかくときは、電解質を多く含む飲料を飲むのが望ましいといわれています。

 

WHO(世界保健機構)によれば、人が人間らしい生活を営むためには、一日最低5 Lの水が必要とのことです。食事・洗濯・洗面など生活用水の標準的な使用量は約235 Lにもなるといわれます。さらに、現代人は産業用・農業用と、水を大量に使っています。水は文化のバロメーターといわれ、文化的な生活になればなるほど水 の使用量が増えるといわれています。

 

水資源の豊かな日本では、水はあって当然のように感じますが、改めて考えてみると『水』はあらゆる意味で私たちにとって無くてはならないものであることがわかります。 暑い夏ですが、適切な水分補給をして快適に過ごしましょう。

 

 

【 応用栄養学研究室 増野弥生(管理栄養士)(健康咀嚼指導士) 】

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