服飾芸術科 ファッションビジネス論 講演レポート

大滝 秀一講師

服飾芸術科 ファッションビジネス論 講演レポート

戸板女子短期大学 1年生 ファッションビジネス論を担当しております、大滝と申します。

ファッションビジネス論では15回の授業の前半はファッションビジネス3級のテキストに準拠した基礎的な内容を学んでいきます。後半は実践編のPBL型授業となり、学生達は正解のないファッション業界で自分の考えを主体的に表現する手法を学んでいきます。

特にファッションビジネスの中でもマーチャンダイジングに重きを置いています。時代が変わりビジネスモデルが変わっていったとしても対応できるように、自ら考えて動けるように理論を理解し課題に取り組みます。そんな内容の積み重ねが終了した時点で、本日は外部講師をお招きしご講演頂きました。

■講師紹介

本日の講師は、私がファッション業界でお世話になった旧友の嶋野様です。

嶋野様は、(株)小学館に入社後 Ane Can, CanCam 編集長を経て、現在取締役にてユニバーサルメディア事業局チーフプロデューサーも兼任されています。

「大手出版社である小学館が手掛ける”XR領域”をユニバーサルメディア事業局チーフプロデューサーに実例と共にやさしく解説頂く。」

という内容にて、ご講演頂きました。そして学生達は、その講演内容を基に今後のファッション業界の変化を予想するという課題に取り組むことになります。

まずは、小学館の歴史から始まり CanCam などの雑誌編集のお話、そしてナイトプールなどの出版社としての幅広い取り組みを画像を使いながらお話していただきました。

嶋野様曰く、時代は確実に3Dモデルの時代になる!ということで、サンプル動画を見せながら詳しく解説して頂いたので、とてもリアルでわかりやすい内容となったと思います。

では、学生達の講演の感想を見てみましょう!

『やっぱり小学館さんというのはアニメ側の商品の商品化や2次元キャラの3Dモデル化など色んな取り組みをしていて技術の進化が凄いなと思いました。嶋野さんも私たちのためにファッションメインで今の小学館の取り組みとどのように現在の小学館の技術をファッションに取り入れて行けるかを話してくれていて分かりやすかったです。』

『私は元々雑誌が好きで最新号が出る日に毎回購入する程のファンだったので、CanCamの裏側や実際の雑誌制作スケジュールを知ることができてとても興味深い講演でした。また、XR領域についても以前から興味があったので具体的な取り組みを見ることができたり「欲望は変わらないけどその為の情報手段は日々変わる」という嶋野さんのお言葉がとても印象深いです。』

など、様々な感想がありました。

 

では、次に、今日の課題のファッションビジネスはどう変わるか?と学生達に考えてもらいました。

『嶋野先生が見せてくれた3Dアバター試着はとてもいい発想だなと思いました。直接店舗に行く時間が取れず、ネットで商品を探しても試着はできないため、結局店舗に行くしかないので、3Dアバター試着を活用することで、直接店舗に行かなくても、自分に合う商品を見つけることができる。また、自分はどういう服があまり合わないのかも一目でわかるため、これからは3Dモデルが活躍していくと思いました。ネットでの商品購入が増加しつつあるため、3Dアバター試着やインターネットでのファッションショーを行うことで、現在韓国に押され気味なファッション文化を日本のファッションに戻すこともできるのではないかと思いました。』

『顧客は、自分のアバターを使って完全に服にフィットする、バーチャル試着や数ミリ単位のスタイリングを使用していく上で、顧客満足度も高まり、返品率が減少すると感じました。また、店舗を作る上でのコストの削減なども可能となり、経営的に余裕ができるのではないかと考えています。また、XR領域で服を売る場合に、オンデマンド生産にするなどするのも画期的ではないかと考えております。』

『ARやVRの技術を利用した、バーチャルやデジタルファッションショーが今後どんどん増加していくんだろうなと思った。それだけでなく、メタバース内でのファッションアイテムの販売も進む可能性がありそうだなと思った。実際にお店に行って気になったアイテムを試着することに抵抗がある人も少なくないと思うから、実際に試着していなくても、自分の体型に似合った服を気軽に見つけることができ、購入決定の参考にすることができるなと思った。これによって、返品率の低減が期待でき、消費者のショッピング体験を大きく変えることが期待できそう。』

など、これもさまざまな意見がありました。

現在ファッション業界ではSPA型のビジネスモデルが主流を占めていますが、D to C のブランドが台頭してきていたりと、学生達が活躍する頃には、ビジネス環境が様変わりするということも無きにしもあらずですね。そんな意味合いで本日は学生達にはXRをヒントにこれからのファッションビジネスを想像してもらいました。

変化対応業と言われるファッションビジネスをリアルに体感できたのではないでしょうか!

戸板女子短期大学
服飾芸術科
大滝 秀一 講師

 

大滝 秀一講師

服飾芸術科

ファッション業界ではブランドプロデュース・クリエイティブディレクション及び会社経営をしておりました。その経験をファッション業界を目指す方々へ伝えていきたいと思います。夢の実現に向けて頑張りましょう。 主な担当科目 >>> ブランドプロデュース論 / ブランドプロデュース演習 / ファッションデザイン論 / ファッションビジネス論 / ファッションコミュニケーション論 / ビジネスキャリア論 / ファッションビジネス(企画)ゼミ