ヘルシー通信

憎き紫外線? ありがたき紫外線?


2005年度5月号 「憎き紫外線? ありがたき紫外線?」

意外なことかもしれませんが、5月は紫外線が非常に多い時期なのです。

紫外線というと、みなさんにとっては「美白の敵」、つまりお肌にとっては憎き存在であるかもしれません(紫外線と肌の関係については、2004年9月号で扱っていますので、バックナンバーからどうぞご覧下さい)。
また、よく知られているように、皮膚がんの主要な原因ですから、みなさんにとって紫外線は有害なものでしかないかもしれません。

それでは、なぜ私たち人間は太陽の昇っていない夜に行動をしないのでしょうか(夜に行動する人は多いですが……)?
天敵ともいえる夜行性の肉食動物から身を隠すために、昼行動し夜は身を隠し睡眠をとるのでしょうか?
答えは、「人間は光を必要としている」です。
我々は様々な形で光と関わって生きていますが、一つ例をあげれば、一日の生活リズムを作る上で太陽からの光は欠かせません(詳しくは、2003年11月号のバックナンバーをご覧下さい)。

栄養素として我々の体内で活躍している物質の一つにも太陽光、特に、紫外線を必要としているものがあります。
それは「ビタミンD」です。
ビタミンDは栄養素なので、食事から摂取する必要のあるものですが、普通に歩ける人にとって、体に供給されるビタミンDの大きな供給源は「日光に当たる」ことなのです。

「日光に当たる」こととは、ビタミンDの供給にどう関係するのか想像しづらいことかもしれませんが、説明してみましょう。
実は、我々動物はビタミンDを合成することができるのです!
人間を含む動物はコレステロールからプロビタミンDと呼ばれる物質を合成することができます。
このプロビタミンDは皮膚に多く存在していて、紫外線をあびるとプレビタミンDと呼ばれる物質に変換されます。
さらに、このプレビタミンDが肝臓と腎臓で少々の化学変化を受けると、体の中で活躍することのできる活性型ビタミンDになるのです。
この活性型ビタミンDは、人間を含む動物体内でのカルシウム代謝の調節をするという重要な働きがあります。つまり、丈夫な骨・歯を維持し、体内のいたると ころでカルシウムに活躍してもらうためには、食事から"適量"のビタミンDを摂取するとともに、"適量"の紫外線をあびて、体内で合成される活性型ビタミ ンDの量を維持する必要があるのです。

美肌にとっては、紫外線は憎き敵であるかもしれません。
しかし、みなさんの体を健康な状態に保つ大事な力ももっています。
また、我々は植物からでんぷんという形で、糖質(炭水化物)を摂取し、エネルギー源として利用し生活をしていますが、その植物に含まれるブドウ糖は光を利用した"光合成"により作られています。
このように、紫外線を含めた光は敵にもなりえますが、大事な味方でもあります。いい形で紫外線と付き合っていくことで、自身の健康維持をはかりましょう。

食品機能学研究室 小築 康弘